430MHz帯用八木アンテナの給電部変更

輻射器のエレメントへ同軸ケーブルを直接接続(直接給電)していましたが、本来はバランを介してエレメントへ接続するのが一般的?と思うので変更してみました。いつものように見よう見まねで行うため、参考になる教材はないかと探したら2006年の「やさしいアンテナ入門」というCQ誌付録の小冊子で、「Uバラン」と「折返しダイポール」が掲載されているのを見つけ、少しは理解しながらメモにしています。血液型がA型の為かセオリー通りにしないと気が済まないようで困ったもんです。

左から2本目が輻射器で中央に給電部(直接給電)があります。(変更前)

1.変更点

1)概要(Uバラン・折返しダイポール・取付ベース)

同軸ケーブルで不平衡から平衡、及びインピーダンス変換が行えるバランで、インピーダンスは無線機側:50オーム、エレメント側:200Ωになるとの事、そして折返しダイポールにするとインピーダンスが200Ωになるとの事から合わせて変更しました。

無線機と接続するケーブル長は280mm
2)Uバラン

インピーダンス変換と不平衡ー平衡について参考にした記事によると
アンテナ側のインピーダンスは4倍(50Ω⇨200Ω)になるとの事。これは、折返した1/2波長同軸ケーブルの中心導体間の電圧が2倍になるため。下記画像のA、B、Gの波形が掲載さています。

電圧が2倍でGが中立点ということか?

インピーダンス変換を計算(オームの法則から)
無線機側:出力10W、インピーダンス50Ωとして、V = √ P * R = 22.4(V)
折返しダイポール側:R = V^2 / P = (2 x 22.4) x (2 x 22.4) / 10 の結果が約200Ωと記されている。

Uバランは結束バンドで取付ベースへ固定しました。

U字の同軸ケーブルの長さ算出の条件
 ①432MHzを共振周波数として設定
 ②同軸ケーブルの種類と短縮率は3.5D-SFAで88%(5D-SFA相当にしました。)
 ③U字の同軸ケーブルは1/2λの電気長

U字の同軸ケーブルの長さ
 λ = 300 / 周波数(MHz)= 300/432 = 0.694(m)
 1/2λ=0.694/2 = 0.347(m)

この値を電気長にするため短縮率をかける
 1/2λ(電気長)= 0.347 * 0.88 = 0.305(m)・・・下記の赤矢印

上記の折返しダイポールを外した状態で200Ωの抵抗を付け、NanoVNAでSWR、Z(インピーダンス)測定(無線機側のBNCコネクターへNanoVNAを接続)したところ、良好と思える結果となりました。これでUバランは完成と判断しました。

430MHz SWR:1.041 Z:49.3+1.84jΩ
435MHz SWR:1.040 Z:49.4+1.85jΩ
440MHz SWR:1.039 Z:49.4+1.81jΩ
使いたい周波数内で安定した値となりました。
3)折返しダイポール(輻射器)

エレメントの長さは全幅308mm x 間隔31mmで全長(1周分)を計算するとおおよそ0.651mになります。1λ = 0.691mより短く短縮率はおおよそ94%あたりになりました。(同軸ケーブル直接給電のエレメントも短めでした。)

折返しダイポールの線材は手持ちのIV線で芯線の太さはΦ1.5、外皮含む外径がφ3で、上記寸法はIV線の中心です。それと取付ベースへ結束バンドで4箇所固定しました。IV線が細いのでもう少し太い線に後々変更したいと思います。
4)取付ベースのブーム固定
ブームのマジックテープを長めにしておけば給電部の前後調整が容易になります。
5)エレメント間隔
以前と導波器(赤テープ)と反射器(白テープ)の間隔は同じです。
折返しダイポールの反射器〜輻射器を200mm→220mmへ変更しました。(SWR調整結果)

2.測定(Uバラン+折返しダイポールとエレメントの組合せ)

バラン側の同軸ケーブルのBNCコネクターへNanoVNAを付け測定したところ良好なSWRとなりました。

測定範囲428-440MHzで共振周波数は測定範囲より低い方にあるようです。
430.04MHz SWR:1.099 Z:52.9-j3.9Ω
433.04MHz SWR:1.123 Z:54.2-j4.28Ω
440MHz SWR:1.206 Z:57.3-j6.96Ω
折返しダイポールの線径を太くするときに合わせて微調整しようと思います。

約2mの同軸ケーブルを繋いだ場合、SWRは少し上がる傾向となりましたが、1.5以下なので無線機の安全機能(出力を抑えるなど)が作動するような事はないと思い、この仕様で使う事にしました。測定範囲を410-440MHzへ広げたところ共振周波数は414.2MHzでした。

測定範囲410-440MHzで共振周波数は414.2MHz SWR:1.052
430.04MHz SWR:1.290 Z:64.5+j99.8mΩ
435MHz SWR:1.341 Z:64.6-j8.14Ω
440MHz SWR:1.442 Z:46.8-j17.5Ω

これでお試し運用をしたところ電波は飛んでいるようなので使い勝手の改善を優先しようと思います。内容は、ブームとポール(マスト)は15mm角材、長さが約670mmです。山へ移動する場合はリュックの横にある飲み物を入れるポケットへ差し込んで固定していますが、それぞれリュックより高くなり、登山道で枝が密集しているところなどで必ず引っかかる事があります。その時に体のバランスを崩して転倒などに繋がるか?と思うことがあります。

という事からエレメントの数を少なくすればブームも短くできますが、5エレのままブームとポール共に2分割の検討を進めようと思います。